霊視/スピリチュアルカウンセラー/スピリチュアルカウンセリング [オフィス スピリット911]





―― Vol.17 体の痛み ――

 変形したオートバイのフロントホイール。レース用の強靭なマグネシウム合金製です。これだけは引退した今でも手元に置いてあります。大変高価で苦労して購入したので、なかなか手放せません。勿論、使い物になりませんが、もう一つ理由があります。自分が最後にクラッシュした時にオートバイに装着していたのです。このホイールを見るたびに、あの時の恐怖と絶望感が蘇ります。そして、生きる意味を教えてくれます。自分の大切な教訓であり教材です。

 小春日和の穏やかな日でした。早朝から富士スピードウェイにやって来ました。レース前日ということで、車検と練習走行があります。車検を無事通過して練習走行までは時間があったので、ノンビリとしていました。練習走行はクラス別になっています。排気量や技量に差がありすぎて危険な為です。自分はモンスタークラスにエントリーしていました。排気量は1000ccで最高速度は300キロ届くようなクラスです。自分の走行時間が来たので、レーシングスーツを着てヘルメットを被り、エンジン始動。そして、慣れ親しんだコースに入っていきました。数週ほどコース状態のチェックやオートバイの感触を確かめながらペースを上げて行きました。いつものように。違っていたのは、オートバイが新車だったということです。戦闘能力の高いオートバイにと乗り換えたシーズン初戦でした。

 最終コーナーにアクセル全開でアプローチ。時速200キロ。さらに加速中で景色はものすごいスピードで流れて行きます。瞬間、操縦不能・・・どうすることも出来ませんでした。20年前、同じ場所で後輩がクラッシュしました。彼はコーナーから飛び出し50メートル先のガードレールまで投げ出されました。そこに後から彼の乗っていたオートバイが飛んできて首にハンドルが刺さり、翌日亡くなりました。まだ20歳の若さでした。

 操縦不能になった瞬間から意識は途切れませんでした。コースから外れてグリーンを走りガードレールへ。想像を絶するスピード。恐怖と絶望が意識を支配します。全身への強い衝撃と共に、体が草地に投げ出され、ものすごい量の汗が全身を包むように噴き出しました。ほんのつかの間、体を動かすこと、呼吸できないことに気がつきました。その苦しさとは裏腹に、目には綺麗な青空が映っていました。流れるような量の涙と共に、意識が遠くなりはじめました。

 全身に激痛を感じた瞬間でした。新鮮な空気・・・呼吸できた喜び、生きている実感。オートバイは全損でしたが、命だけは助かりました。複雑骨折した右肩は変形していました。それから1年間の治療。痛みには耐えましたが、今でも時々治っているはずの全身に激痛が走ります。怠け者の自分に、魂が痛みを思い出すように要求します。自分はなぜ生かされたのかを。20年前の後輩と何が違うのか。遥かに彼よりも速いスピードでクラッシュしたのに、何故自分は生きているのか。寿命や使命は時には残酷です。体の痛みが教えてくれます。心の痛みは体の痛みよりも辛いということを。今年も真剣にそして寛容に依頼者の方達と接して行きたいと思います。

2006/01/05